BLOG
  • 相続の豆知識

贈与税は払った方がお得?! 贈与税と相続税の基礎知識

2021/7/5

将来の相続対策の一つとして生前贈与を検討されている方も多くおられるかと思います。
これから生前贈与を検討されている方の中には、「贈与税を払うのなんてもったいない!」と考えておられる方も多いのではないでしょうか。
しかし、贈与する金額にもよりますが、相続税を払うよりも贈与税を払う方が得をするケースが実は多いのです。

相続税の税率を確認してみましょう

贈与税の話に入る前に、まずは相続税の税率について確認してみましょう。下表をご覧ください。

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

(表1)【平成27年1月1日以後の場合】相続税の速算表

相続税額の計算方法は、正味の遺産額から基礎控除額を差し引いた残りの額に税率を乗じて計算します。
(実際には、法定相続分によりあん分した法定相続分に応ずる取得金額を上表に当てはめて相続税の総額を算出した後、実際の相続割合で相続税の総額を相続人ごとにあん分して計算します。)
正味の遺産額が基礎控除額以下になる人には相続税はかからないということになります。

※基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

相続税は、基礎控除額を超える部分に最低10%~最高55%の税率で課税されます。
また、財産の多い人ほどより高い税率となる累進課税と呼ばれる仕組みになっています。

贈与税の税率を確認してみましょう

それでは次に贈与税の税率を見ていきましょう。下表をご覧ください。

贈与額から110万円を引いた後の金額 税率 控除額
200万円以下 10%
400万円以下 15% 10万円
600万円以下 20% 30万円
1,000万円以下 30% 90万円
1,500万円以下 40% 190万円
3,000万円以下 45% 265万円
4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円超 55% 640万円

(表2)【特例贈与財産用】※直系尊属(祖父母や父母など)から、その年の1月1日において
20歳以上の直系卑属(子・孫など)へ贈与した場合

相続税と贈与税、どっちが高い?

(表1)と(表2)を比べてみて、どちらの税率が高いと感じるでしょうか?
おそらく多くの方は「贈与税の方が断然高い!」と思われるのではないでしょうか。
はたして本当にそうでしょうか?
実は相続税率と贈与税率を単純に比較することにはあまり意味がないのです。
相続税と贈与税は、ある人からある人へ財産を渡す際にかかる税金という点では同じですが、前提となる考え方が全く違っているのです。

相続税は、相続人に全財産を一度に渡すという前提でかかってくる税金です。
一方、贈与税は生前に財産を渡す際にかかる税金ですが、全財産を一度に贈与するケースはあるでしょうか?
全くないとは言い切れませんが、財産の一部を生前贈与するというケースがほとんどかと思います。
仮に全財産を生前に一度に贈与するという前提であれば、贈与税の方が圧倒的に高くなります。

このように、相続の場合は財産を一度に渡すことになりますが、生前贈与の場合は少しずつ小分けにして財産を渡すことが出来るのです。
贈与する年度を分けることによって小分けにすることも出来ますし、贈与する相手の人数によって小分けにすることも出来ます。
したがって、相続税と贈与税のどちらが有利なのかの比較は、小分けされた贈与額と、その金額ごとにかかる贈与税を算出してはじめて意味のある比較ができるのです。

具体的な例で見てみましょう

例えば、財産を1億円持っている方がいるとします。この方に相続が発生した場合について考えていきましょう。相続人は1人と仮定します。

Ⅰ.生前贈与を行わなかった場合

基礎控除額3,600万円を差し引いた6,400万円を速算表に当てはめて計算すると、相続税は1,220万円です。

贈与税
相続税 1,220万円
合計:1,220万円

このケースでの最も高い相続税率は30%になります。

【参考】相続税の計算方法
(1)基礎控除額3,600万円からプラス1,000万円までの部分は相続税10%(1,000万円×10%=100万円)
(2)(1)からプラス2,000万円までの部分は相続税15%(2,000万円×15%=300万円)
(3)(2)からプラス2,000万円までの部分は相続税20%(2,000万円×20%=400万円)
(4)(3)から1億円までの部分は相続税30%(1,400万円×30%=420万円)
(1)+(2)+(3)+(4)=1,220万円

このように相続税の計算は、財産額の段階ごとに税率をかけていき、その合計額を算出する方法が本来の計算方法です。
しかしこれでは非常に面倒ですよね。
そこで計算方法を簡単にするために、速算表にある「控除額」を使います。
これを使うと以下のように1度で計算が完了します。
6,400万円×30%-700万円=1,220万円

Ⅱ.100万円を生前贈与した場合

贈与税 0円 ※110万円までは非課税
相続税 1,190万円
合計:1,190万円

Ⅲ.500万円を生前贈与した場合

贈与税 48.5万円
相続税 1,070万円
合計:1,118.5万円

Ⅳ.1,000万円を生前贈与した場合

贈与税 177万円
相続税 920万円
合計:1,097万円

いかがでしょうか?Ⅰのケースと比較して、贈与税を差し引いて考えてもⅡのケースで30万円、Ⅲのケースで101.5万円、Ⅳのケースで123万円お得になっているのが分かります。
ここでのポイントは、生前贈与を行うことによって、相続税の税率が最も高い部分の財産を減らすことが出来るということです。
つまり、このケースでは30%の相続税が課税される部分を、生前贈与した金額分減らすことが出来るのです。

まとめ

一般的には贈与税はとても高い税金だと言われています。
そのため、贈与税を支払うことに対して抵抗を感じてしまう人が多いのではないでしょうか。
何故そのように言われているのでしょうか?その理由は相続税にあります。
人が100人亡くなった時に、遺産額が基礎控除を超えて相続税が課税される人は何人くらいいるかご存知でしょうか?
答えは約8人です。
平成27年に基礎控除が大幅に引き下げられましたが、相続税は一部の富裕層にかかるという位置づけは変わっていません。
相続税のかからない100人中92人の方々にとっては、生前贈与をして贈与税を払うというのは、別の理由がない限り非常にもったいない行為です。
そういう意味においては、相続税のかからない人にとって贈与税は高いというのは正しいのです。
このように相続税が課税される方々にとっては、相続税に比べて贈与税はお得な税金であると言えるため、生前贈与は有効な相続対策となる可能性があります。
まずは相続にまつわる現状分析・問題点の把握など全体を捉えた上で、対策の一つとして計画的に生前贈与を活用していくことが大切なのではないでしょうか。

相続/終活セミナー定期開催中

SEMINAR

詳細情報&ご予約はこちら

関連記事

最新の投稿

よくあるご質問(FAQ)

保険相談・相続相談でよくあるご質問と回答をご案内します。
CONTACT
どんな事でもお気軽にお問い合わせください。
LINE twitter Instagram